カニの甲羅やカニの殻

カニの甲羅やカニの殻などを乾燥・粉砕し、アルカリ溶液と酸溶液で化学処理した動物性の食物繊維をキチンと呼びます。そのキチンをさらに化学処理(脱アセチル化処理)したものがキトサンです。キトサンにはキチンが16%ほど含まれているので、 一般にはキチン・キトサンとして取り扱われています。

 

キチンは1982年に農林水産省がスタートさせた「未利用資源・バイオマス」開発10カ年計画をきっかけに、医療・医学・薬学分野の研究も進み、さまざまな研究結果が発表されるようになりました。たとえば、アミノ基を持つため―に有害物質を吸着し体外へ排出する、腸管で塩素を吸着・排出し血圧を下げる、胆汁酸を吸着・排泄し血中コントロール値を下げる、免疫細胞のマクロファージを活性化し免疫力を高める―― などです。成分はキチンがN ‐アセチルグルコサンのβ ‐1・4の結合多糖で、キトサンはその脱アセチル化物です。なお、性質は水に溶けない不溶性です。
キトサンを含む製品は特定保健用食品として、「コレステロールが高めの方に適する食品」の表示が許可されています。錠剤やカプセルなどのサプリメントがあります。

 

◎がんへの効果の信頼度
マクロファージを活性化し免疫力を高めるとされるキトサンの働きによってがんにも効果があるとする研究者もいますが、その根拠となっているのは動物実験などの基礎研究です。現在のところ、ヒトを対象にがんへの効果を研究した臨床試験はなく、信頼できるエビデンスはないといえます。動物実験による研究結果はたくさん発表されているだけに、ヒトのがんに対する有効性を調べる本格的な研究・臨床試験が求められます。

 

◎他の病気への効果は?
慢性腎不全患者や人工透析を受けている患者などを対象とした臨床試験で、コレステロール値の低下が認められたという報告があります。しかし、その反対に、キトサンは脂質に影響を与えなかったという臨床試験もあります。キトサンにコレステロール値を下げる働きが明確にあるかどうかは、今後の臨床試験を待たなければならないようです。